糖尿病の猫の介護27
前回のおはなし
昨夜調べた、猫専門の病院に連れて行くことにした。
今までのお医者さんはすごく優しい先生で、猫にも人間にも誠実な対応をしてくれていたが、通院費がとにかく高かったのだ。
点滴、吐き気止め、痛み止めを打つだけで6000円。
2日に1回血液検査をすると8000円、ほぼ1万円だ。
この2ヶ月で50万円は消えた。
猫貯金があったからなんとかやってこれたものの、このままでは破産してしまう。
何か治療方法はないか、少しでも料金は安くならないか、藁をもすがる気持ちだった。
膵臓の検査結果をもらうために、今までの動物病院によった。
あらかじめ電話していたので検査結果だけ渡されるのかと思っていたが、しっかりとおはなしもしてくれた。
ペス夫は慢性膵炎にかかっていた。
慢性膵炎は治らない。治療法も確立されていない。
対処療法でうまく付き合っていくしか無い。
点滴と調子が悪いときの痛み止め、吐き気止めだ。
今までと同じ治療。
だったら、どこの病院でも同じじゃないか?
できるだけ安くお願いしたい!
猫専門病院は混んでいた。
そして鼻を突くような猫のにおいがした。
病院で飼われているのか、一時的に保護しているのか、院内を猫がうろうろしていた。
正直、不衛生だった。
キャリーケースに入れられたペス夫は、待合所の人たちが見るくらい唸っていた。
手を差し出したらその手を掴んで攻撃してくるくらい、興奮し怒っていた。
こんなペス夫を見るのは初めてだった。
ネットで見ていた通り、先生は無愛想だった。
猫に対しては情熱的だとネットの口コミには書かれていたのだけど、そんな感じはしなかった。
だけどこっちも必死だったから、症状を伝え疑問に思ってることは全て伝えた。
慢性膵炎になってしまっていること、対処療法でやりすごすしかないと言われたこと、ふらふらしてる理由がわからないこと、便秘が苦しそうなこと、などなど。
便秘については食べる量が少ないので出なくても仕方が無い、だけどうんこが少し溜まってきてると触診をしながら言われた。
通っていた病院で原因がわからないと言われていたふらふらの理由は、血中にアンモニアが溜まってきているからではないかと言われた。
慢性膵炎については、通っていた病院と同じ見解だった。
対処療法でやっていくしかない、と。
「同じ治療になりますが、どうしますか?」と、先生が淡々と言う。
少しの沈黙の後、母が口を開いた。
「経済的に余裕が無くて、こちらは良心的な値段で見てくれると聞いたので。」
先生は何も答えず、別の部屋から点滴の用意を持ってきて、処置をはじめた。
いつも見ていただいて、ありがとうございます!