糖尿病の猫の介護⑪
前回のおはなし
家に帰り、ごはんをあげてみた。
もらった高カロリーの缶詰は、前の病院でもらったものと同じだった。
与えきれずに冷凍していたものを解凍し、水でのばして人肌程度にあたため、シリンダーでペス夫の口まで運ぶ。
からだはふにゃふにゃなのに口だけはがっちりと閉じている。
犬歯と奥歯の間をつかみ、無理矢理こじ開ける。
開いた瞬間にシリンダーの先をねじ込み、ピストンをぐっと押す。
すごくすごく嫌がって口を何度も開け閉めしたり、首を背けるがしかたない。
「食べなあかんねんで」
「ペス夫、あーーーん」
「えらいえらい!」なんて言いながら口に運ぶ。
まったくと言っていいほど飲み込んでくれないので、別のシリンダーで水も与える。
犬歯と奥歯の間のゴムパッキンのようになっているところに、すこしだけ隙間がある。
そこに無理矢理シリンダーの先をつっこんで、またもやピストンをぐっと押す。
いきなりの水に目を白黒させるペス夫。
固く閉ざされた口から、溢れ出す水とえさ。
けっきょくこの日は、缶詰の10分の1もあげることができなかった。
いつも見ていただいて、ありがとうございます!