お金のこと、お金が好きだった彼とのこと
わたしはお金が好きだ。
お金があるとなんでもできる。
お金で買えないものはもちろんあるが、手に入りやすくなる。
チャンスが広がる。
何も気にしなくても生活ができる。
極端な話、お金以外なにも持ってなくても、新しい街で新しい暮らしをはじめることだってできる。
わたしがこんな考え方になったのは、昔の恋人のせいだ。
すごくすごく大好きだった彼は、お金のことがとても好きだった。
お金をたくさん稼ぎたいから順調だった仕事を辞め、失敗をしたいからという理由で北海道にやってきた。
失敗とは、成功者の条件なんだと。
そんな失敗を求めてやってきた北海道で、彼はわたしと出会った。
ばかみたいにわたしのことを甘やかしながら、彼はお金のことにはシビアだった。
出費を嫌い、代用できるものは代用し、寮で出てくる無料の食事を欠かさず食べた。
すぐに(寮の)食事に誘ってくるものだから、わたしは太った。
その頃のわたしはお金がちっとも貯まらなかった。
2012年、地元の神戸で正社員として働き、楽な仕事で月20万強稼いでいたが、お金は少しも貯まらなかった。
家賃と生活費で5万飛ぶとして、15万。
その残りの15万がどこに行ったのかちっともわからない。
インドに行ったり、タイに行ったり、免許合宿で免許取ったりしたけど、多めに見積もっても使ったお金は50万くらいだ。
1年働いたから100万くらい残っててもいいのに、わたしに残ったのは5万円だけだった。
そんなわたしは、お金のことが好きじゃなかった。
お金で買えないものばかりだと思っていた。
お金のことを大事に思ってなかったから、お金はどんどん逃げて行った。
何に使ったかわからないなんて、本当に逃げていってるのと同じだよな。
そんなわたしを心配してか、彼はそっとお金との付き合い方を教えてくれた。
わざわざお金を出してセイコーマートのカツ丼を食べたがるわたしに、寮のご飯を食べるようにすすめてくれた。
普段のデートは散歩か近所の無料温泉だけだったけど、たまにお金を使うときはケチらなかった。
投資について教えてくれた。投資はしなかったけど、ハードルを少し下げてくれた。
そんな付き合いがほんの少し続いたが、わたしの無駄遣いはなおらなかった。
月4日の休みで毎日10時間働いて貯めたお金は、気がついたらどこにもなかった。
お金との付き合い方はうまくならなかった。
彼も離れて行った。
北海道での仕事を終えて、彼との密接な関係が終わってから1年と少し。
ここにきてようやくお金のことを真剣に考えるようになった。
お金のことを愛しているし、わたしは金銭的にとても自由だと思い込んだらいつの間にか貯金もできてた。
ずっとしたかった歯列矯正をはじめることができた。
まだ彼には遠く及ばないし、歯列矯正をはじめたことで貯金はなくなってしまったけど、自分の心は大きく変わってきている。
人との接し方もお金との接し方も、真摯でないとどうにもならないんだなあと。
今年度末くらいにはしっかりと何かを見つけられればと思う。