さすらわなくなったトビー!

旅を終えたその後の人生

明るい幻

最近、キセルの新譜ばかり聞いている。

飽きもせずにまいにち、まいにち。

新譜が出る前はこれまたキセルのスキマミュージックを聞いていた。

これもほんとうに、まいにちまいにち。

 

テレビもつけないし、近頃は映画も見ない。

おうちでは料理を作るかベッドでネットをしてるか。

だらだらのびのび暮らしてる。

こんなときにキセルはとてもぴったりだ。

軽く、少し辛気くさいような歌声と、吹奏楽のボワっという音。

たまに響く打ち込み。

お兄ちゃんの声に合わせてたまに歌ってみたりする。

適当な、息みたいな自分の歌声と、パソコンから流れてくるお兄ちゃんの歌声とがしゃりしゃりと合わさる。

この瞬間がすごく好きだ。

 

 

新譜「明るい幻」

最初はとんでもなく地味だと感じた。

それまでわたしの好きなキセルは、「夢のいくら」のような打ち込みばりばりのものだったから。

ああ、これは買わなくても良かったのかもしれない、と思った。

だけどもったいないので聞いてたら、いつの間にか生活に欠かせなくなってしまった。

 

中毒性がある。

1曲めの「時をはなれて」をいつの間にか再生している。

追いかけるようなあの独特なイントロを欲している自分がいる。

お兄ちゃんの、かぼそい歌声に安心する。

サビのハーモニーに自分も参加する。

そして「夏の子供」

ここからこのアルバムは本題に入るのですよ、と言わんばかりの明るさ。

だけどやっぱり地味で辛気くさいのだ。

少し爽やかめの曲が続き、ぐっと雰囲気の変わる暗さマックスの7曲め「ミナスの夢」

イントロが暗い。雨の降る、夜の路地裏をとぼとぼ歩いてる感じ。

だけどぐんぐん明るくなってくるの。

見たことないけどショーシャンクの空のジャケットのイメージ。

この曲のボワボワなってる吹奏楽がすごく好き。

長らくわたしのなかのキセルで1位に輝いていた「鍵の絵」と同じくらい好き。

 

 

こうやって少し分析しながら聞いてみるのは初めてだ。

気づいたんだけどキセルの何が好きかって、暗いけど明るい、確固として前向きで、暗闇の中でひかりに突き進んでいるような、潜在的な人としての明るさなんだと思う。

閉ざされた炭坑の中で、陽の明かりに向かって進んでいるような。

世の中には明るいふりをした暗いものが多いから。

 

明るい幻

明るい幻

 

 生活に根付くよ。

 

 

さて来年のリリースツアー、どこに行こう?